てくてく

日々の作曲に

続き

と、ここまで書いて大事なことに気づいた。

 

「この曲、何度聴いても2分半のところまでに一体どういうことが起きていたかよく覚えられないな」感は3.11の直後に作った「untitled」という曲でなんとなく気づいたことだった。そして前回トピックにあげた今作っている曲でより明確に意識に上ってきた。

 

「untitled」は短い曲でピアノの一筆書きのような曲。ほとんど誰にも聴かせたことの無い曲。ピアノでまず全部を録音して曲の前半部分を分解し、いろいろな要素を付加した。後半はシンセのドローンを背景にピアノが前半のテーマをオクターブ上で途切れずにきちんと再現する。最後はコラール風の合唱の一部と教会で人々が「アーメン」と言う音声素材が一緒になって終わる。ちなみにこの「アーメン」と言ってる音声素材は環境音サンプル集から取ってきたもので別に「アーメン」という言葉が欲しかったわけでもなんでもなくこれもあとから「あれ、よく聞くとアーメンとか言ってんな」と気づいた。

この曲も短い時間の間に色々な質の音楽的時間が微妙なタイミングで構築されているせいなのか、後半部分が始まる直前の落ちつくところまでに奇妙な時間感覚に包まれる。

 

 この2つに共通しているのはまず繰り返し(反復)がほとんど、というか全くといっていいほど無いこと。「untiteled」に関しては後半部分で曲のモチーフというかテーマがそのまんま再現(実際は前半部分では本来のこのテーマはあらかじめ分解されており、そもそもこれらのぶった切られているピアノ素材たちがひとつの繋がりを持った流れであることが認識されにくくなっている。それを後半ではそれらをつなぎ合わさせた形、つまり本来の姿として出て来るわけだが聴取する側としてはそれを再現であると認識できるかどうかは不明。たぶんそのようには聴こえないかもしれない)されるので反復と言えるが、それまでの前半部分が重要。2曲はサンプル単位での再出現する素材はたくさんあるが素材同士の組み合わせがほとんどの場合で違っており、秒単位で印象が少しずつ変わる。また似たような素材の組み合わせが一定間隔で出て来るところもあるが、よく聴くとその間隔は少しずつ変化している(少しずつではあるがこれは聴取可能な変化)。

 

素材同士の組み合わさり方と組み合わさった素材達の連結のタイミング。そして反復は無い。これらのことが恐らく一体どういうことが起きていたかよく覚えられないな感に重要な役割を果たしているんじゃないかと思うんだけど、これだけではない気がする。

 

うーん、なんだろう??